【源氏物語絵巻】 ξ復元され、公開されるξ | 対内言語と、対外言語と!

【源氏物語絵巻】 ξ復元され、公開されるξ

                                            
   著者: 大和 和紀, 植田 紳爾, 渡辺 充俊, 篠田 昇, 植木 由紀子
                                                 タイトル: 宝塚写真絵巻 源氏物語「あさきゆめみし」

  恋物語の原点ともいえる華麗な源氏物語、映像の世界大和和紀のcomics『あさきゆめみし』映像化光源氏を宝塚の愛華みれが演じる写真集タカラジェンヌ&ハイビジョン映像による愛と夢の王朝ロマン〔目次〕許されぬ愛/束の間の恋/生涯の愛/花無常/愛の闇/思い渦巻く/月盗人/育む愛誇り高き恋/誕生と死、他。  


 徳川美術館(名古屋市東区) が所蔵する国宝「 源氏物語絵巻」の15場面すべての復元模写が完了し、16日、同美術館で一般公開 が始まった。5月22日まで。  

 

 玉上琢弥は1950年代に『物語音読論 』を提唱した。「女房がテクストを音読し、姫君が絵を眺めつつそれを聞く という形で、王朝文学は享受された」とする説である。この説は、提唱当初から、事 実としては疑わしいという批判がある。にも拘らず、その批評的インパクトへの評価 は近年高まりつつある。 この論は、朗読者を登場させることで、筆記者に よる「テクストの独占的統括」を疑う視点を提示し、さらに絵という「モノ」と、物 語研究がリンクするという回路を開いたためだ。 前世紀末、普遍的価値基 準を日本人は喪失したと言われている。文化のトレンドもジャンルを問わず「全体を 統括する視点の否定」と「微細な”モノ”の執着」へと移行した。この流れは芸術と 呼ばれる全てに及んだ。 


 冷戦構造の崩壊に伴う「普遍的イデオロギー」の 死や、コンピューター社会の発展による「公」と「私」の関係の変質が、こうした状 況を齎したとされている。だがそれは、日本的伝統思想への保守回帰に対する状況説 明でもある。 自己の尺度と他者の尺度の区別を認めず、互いの尺度が一致 することを確認した上で「互いに縛られ協力しあう」とい血縁地縁を基礎とした”自 然発生的な村落共同体”、その”共同体の論理”のみを優先させる。そして、その土 地の論理に添った物語が女性によって創出され、継承されて行く。そこに事実は存在 しない。土地を維持させる奇怪な伝説のみが誕生する。 


 男と女の物語にも 、事実などというものは存在しない。あるのは「自己の情を維持させる」物語である 。現代の姫君達は、そういう絵を、メディアなどによって「映像乃至は、言葉による 映像の描写の連続による映像」を、与えられつつ、眺めつつ、それを聞きつつ「情念 に満ちた」物語を案出し、行動乃至は記していく。作家はそれをスケッチする。  現在の日本で女性作家が男性作家より強い(!?)と言われるのは、こうい うことにも一因がるのだろう。