国際化への常識論:【超常識の方法】小室直樹 | 対内言語と、対外言語と!

国際化への常識論:【超常識の方法】小室直樹

            
           超常識の方法 西田ひかり
著者: 小室 直樹
タイトル: 超常識の方法―頭のゴミが取れる数学発想の使い方

 日本の社会学者の大半が「使い物にならない学者」であり「浮世離れした訓詁学」者であるのに対して、小室氏は隔絶した位置にいる。テレビでの過激な発言が災いとなりマスコミからは去っていった。しかし元々「学者」である氏にとって、コマーシャルニズムの世界に顔を出すか出さないかはどうでも良いことだろう。
 この本は、氏の本職、数学者としての顔を遺憾なく見せた大衆的名著である。自分などの高等数学など手に負えない人間にも、実に容易に「数学の楽しみ」を教えてくれる。最もここには「暗算」はない。あるのは「数学」である。「数式」はない。あるのは「社会を見る数学」である。
 氏は数学では「存在しないものに関しては何を行っても正しい」のだから、「存在問題」の解決が第一としている。「平和」なる概念ないしは定義は存在しない。従って戦争に対して「平和主義者」としてと言った行動や発言などの空想による批判非難は、無意味であることに気づく。「平和」なる概念・定義などこの世のどこにも存在しないし、またかつて存在したこともなかった。つまり、戦争というシステムは存在し、戦争の英雄も存在するのだが、それに対する「平和」なるものは存在しない。従って、どれほどの出鱈目な行動や発言を行なっても、論理的にその非を指摘できないのである。
 本書は、いかに問題の確信を把握するか。それによっていかに実り或る結果を得るための論理を進めれば良いのか。それらを説得力豊かに私達に教えてくれる。