奈良県明日香村の高松塚古墳の壁画(国宝)が劣化 | 対内言語と、対外言語と!

奈良県明日香村の高松塚古墳の壁画(国宝)が劣化

                                   高松古墳 石室西壁 四人の女子像


 奈良県明日香村にある高松塚古墳の石室西壁の4人の女子像。同じ西壁の入り口側にも4人の男子像が描かれている。東西の壁に男女4人ずつ合計16人の人物像があっる。服装や、さしば(左)と如意(中央)などの持ち物類は、当時の高句麗や唐の古墳壁画と類似するところも多い。7世紀末~8世紀初頭。


 小学生拉致殺人事件、騒音オバサン、車の騒音による(軟派目的の若者集結が原因らしい)近隣迷惑と、犯罪関連の問題に事欠かない「古都・奈良」だが、古くて新しい問題も起っている。奈良県明日香村の高松塚古墳の壁画(国宝)が劣化しているのである。
 文化庁が、壁画の描かれた石室を解体して古墳の外へ運び出し、修復・保存する方法を検討していることがわかった。72年に発見されて以降、カビの発生などが抑えられず急激に劣化が進んでおり、現地での保存は困難と判断。絵の下地のしっくいの状態が悪く、同村のキトラ古墳の壁画のように引きはがすのも難しいという。ただ、壁画を傷めずに石室を解体・搬出できるかどうかの議論はこれからで、専門家の間には慎重論もある。
 同庁の国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会の作業部会が19日に開かれ、現地での保存を続ける案も含めて、課題などを探る具体的な議論を進める。その結果を5月にも開かれる同検討会に報告する予定だ。同検討会の複数の関係者によると、これまでの議論で現地保存については、「石室内の湿度や温度を管理してもカビの発生は防げない」「狭い石室内でのカビ対策は、殺菌用アルコールが充満するなどして危険」などの難点が指摘された。奈良文化財研究所の専門家も「このままでは劣化をくい止めるのは難しい」と話す。
 石室内のカビは週1回の定期点検でも度々確認されているほか、今月12日の点検では、生きたワラジムシやムカデなどの死骸(しがい)が見つかっている。昨年10月から実施した墳丘の発掘調査では、過去の大地震でできたとみられる無数の地割れが見つかっており、新たな地震などで石室が損傷する恐れもあるという。
 一方、壁画の下地のしっくいは、現地保存するため一部が樹脂で固められている。他の部分は逆にもろくなっており、キトラ古墳で進めているような引きはがしは極めて難しいとみている。ただ、同検討会のメンバーの中には、石室を解体する際に壊れてしまう危険性や、遺跡は現地保存する原則に反するとの指摘もある。外部へ運び出した後の保存方法についても具体案はない。