民族の知恵の反面教師『私作る人』/その音楽の<作者>とは誰か リミックス・産業・著作権―増田 聡 | 対内言語と、対外言語と!

民族の知恵の反面教師『私作る人』/その音楽の<作者>とは誰か リミックス・産業・著作権―増田 聡

増田 聡
その音楽の<作者>とは誰か リミックス・産業・著作権

 まずはじめに私が管理者であるgooのブログへの投稿『非・世俗社会信仰者の詩:Social Column 01-08 5 』を取上げさせていただく。

Social Column 01-08 5

≪≪ asahi.com ≫≫-1

◆「感謝の気持ちでいっぱい」両親がコメント 乳児誘拐 [01:59:00 PM]

http://www.sus4.co.jp/rssmail/footprint.php?id=456638&uid=rss422ebc17d46aa

◆赤ちゃんの体重100g増、数日で退院へ 仙台乳児誘拐 [01:56:00 PM]

http://www.sus4.co.jp/rssmail/footprint.php?id=456639&uid=rss422ebc17d46aa

◆赤ちゃん無事保護、男女2人を取り調べ 仙台の誘拐事件 [01:14:00 PM]

http://www.sus4.co.jp/rssmail/footprint.php?id=456640&uid=rss422ebc17d46aa

◆日本橋の青空復活 2016年めざし、国交省が調査費 [11:06:00 AM]

http://www.sus4.co.jp/rssmail/footprint.php?id=455802&uid=rss422ebc17d46aa

◆中田英、4試合ぶり公式戦出場 ボルトン快勝 [05:07:00 PM]
http://www.asahi.com/sports/update/0108/101.html?ref=rss

◆ペイトリオッツ、レッドスキンズが準決勝へ NFL [05:04:00 PM]
http://www.asahi.com/sports/update/0108/100.html?ref=rss

◆NFL最優秀監督にベアーズのスミス氏 [05:02:00 PM]
http://www.asahi.com/sports/update/0108/099.html?ref=rss

◆牝馬三冠のスティルインラブが引退 [05:00:00 PM]
http://www.asahi.com/sports/update/0108/098.html?ref=rss

◆上村15位 里谷は予選落ち W杯モーグル第3戦 [04:56:00 PM]

http://www.sus4.co.jp/rssmail/footprint.php?id=456641&uid=rss422ebc17d46aa

(以下略)

 この頃はブログを行う人が多く、しかも権利意識のみが強いのか、公表された自分の意見や主張は「公表された著作物であり、著作権法が適用される」とする誤った認識が横行しているよである。

 著作権法でいう著作物の定義とは次のようなものである。

第二章 著作者の権利
第一節 著作物

(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
  一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
  二 音楽の著作物
  三 舞踊又は無言劇の著作物
  四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
  五 建築の著作物
  六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
  七 映画の著作物
  八 写真の著作物
  九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
  一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
  二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
  三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
 

 上記の私の投稿は「公表された著作物」には相当する。しかし、著作権法の著作物の定義である「一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」に相当する「公表された著作物」ではない。

 従って「著作権法の定義に相当するものではないが、しかし、公表された著作物である」と定義され得るものである。

 また「2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。」にも相当する。

 さらに次の条項にも相当する。

編集著作物)

第十二条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。

 私の投稿記事は「見出し文・報道された時刻・URL名」など、報道素材を選択し、配列したものである。従って「編集物に属する」かと言えば、そう理解してはいない。データーベースに該当する記事であると認識している。従って、私の認識では、このブログの記事を、誰であっても、そのままコピーし、自己のブログに貼付してもいいとしている。

 この認識には、丁度「私作る人、僕食べる人」を女性差別だと激怒した主婦や有識者たちと、「お湯をかけただけで作るとするのか」と唖然とした者との差が、この「編集物作物」への理解にもあるようである。

 もし私が「お湯をかけるだけを作る」とした激怒した主婦や有識者程度の権利意識であるならば、上記の記事を自己の「編集物作物」と理解しただろう。

 しかし私は「お湯を沸かす」行為を「作る」等とすることは、何物かを「作る」立場にある人に大変に失礼な認識であるとしているし、また、「お湯を沸かすことが料理なのか」と常識人からソッポを向かれる非常識人ではないと心得ているので、上記の投稿記事における編集作業に有した時間を「労力」とは認識していない。従ってそれに何らの権利もないものと理解している。

「皆の衆! 大層な御馳走は用意できんじゃった。『小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物に該当しない、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道の在り処を教えることしかできんのじゃて・・・不味くはなかろうと思う。食うてくれ」と、皆さんに接している次第である。

前置きが長くなってしまったが、紹介の本の内容である。

< 出版社 / 著者からの内容紹介 >

 つくり手と聴き手の境界領域を、細心の緻密さで分析し、錯綜する音楽シーン理解への突破口を開く重要な書。理論的な発展目覚ましい英米圏の研究蓄積を踏まえ、〈作者〉〈作品〉概念の再構築を試みる。「作者性」の核心を衝いた、ポピュラー音楽文化論の最前線を示す一冊。

 社会に溢れる音楽は、それがいかにありふれた、何とでも取り替え可能なものであったとしても、「誰か」の能動的行為の所産であることには変わりない。その誰かの労働/仕事/作品はまた、その対価をも要求することにもなるだろう。

「これは私の《作った》音楽だ」という声が、至る所から聞こえてくる。経済とロマン主義が音楽の上で交錯する。


 では「その音楽」は誰のものか? あるいはそもそも「その音楽」とは何を指すのか? 茫漠とした問いではあるが、それを伝統的な美学の用語によって定式化するならば「音楽における〈作品〉あるいは〈作者〉とは何か? そして両者の関係とは何か?」という本書の問いとなる。

 本書では、クラブ・ミュージックの技術的基盤、音楽産業の構造変容、著作権の思想史を通じて、現代ポピュラー音楽の「作者性」の布置状況を明らかにした。ポストモダニストが声高に叫ぶ「作者の死」というスローガンを疑い、現実の「拡散する作者」の在り様へと肉薄する思考を提示する。


< 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) >
増田 聡。1971年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。

博士(文学)。明治学院大学・国立音楽大学・法政大学非常勤講師。音楽美学・音楽社会学(ポピュラー音楽研究)専攻。

 

リミックス』『カスタマイズ 等々、「作者は誰?」の問題は音楽に限らず、言語活動の分野もまた同じである。


 これに対する明確な問題意識を持つべきであるが、だが、しかし、かつて主婦や有識者たちが騒動を起こした『労働/仕事/作品』=「ラーメンを購入/容器の用意&お湯を沸かす/料理」であるとする奇矯な「権利意識」に基づく、低レベルの認識と議論は避けるべきであろう。

 民族の知恵・・・それはこういう過去の例証を真似ないことで育まれるものだろう。